ウクライナの戦争は、遠く離れた発展途上国の電力を奪う結果になっている。発電に使用される液化天然ガス(LNG)の世界的な供給が、ロシア産ガスの代替として欧州諸国に取り込まれているためだ。パキスタンが実施した約10億ドル(約1360億円)のLNGの入札に対し、7日に応札が1件もなかった。同国当局が明らかにした。同国では発電所に供給するのに十分な天然ガスを輸入できず、企業や家庭は毎日、政府による強制的な電力停止に悩まされている。船で世界中に運搬可能なLNGの価格は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で需要が抑制された2年前の底値から1900%も高騰している。現在の価格は、原油に換算すると1バレル=230ドルに相当し、現在の原油価格の2倍以上だ。LNGは通常、原油より安い価格で取引されている。
LNG買い占める欧州 貧困国は電力不足に
欧州のガス需要が価格高騰を招き、アジアなどへの供給を奪う
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