――筆者のロバート・ライトハイザー氏は2017~21年に米通商代表部(USTR)代表を務めた ***  ジョー・バイデン米大統領は、トランプ政権が発動した対中制裁関税を一部撤廃する可能性がある。これは米労働者や企業に打撃を与え、既に深刻化している米国の対中貿易赤字を拡大、知的財産権の侵害をめぐる米政府の対中交渉力を弱め、米国の安全保障上の利益を脅かすことになる。  米政府は、インフレを抑えることができると称して関税撤廃を正当化しようとしているようだが、その主張はナンセンスだ。