寄稿 企業の中国政府への謝罪は裏目にPhoto:Future Publishing/gettyimages

――筆者のエリザベス・ブロー氏は米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の特別研究員

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 中国の消費者はここ数年、何十もの欧米ブランドに対してボイコットを行ってきた。中国の地図に台湾を含めなかった企業が非難の矢面に立たされ、自国政府が中国政府の怒りを買ったために標的にされた企業もあるようだ。

 中国は重要な市場であるため、ボイコットを受けた企業のほとんどは速やかに謝罪する。しかしスウェーデンの研究者が新たな報告書に記したように、謝罪する企業は、ボイコットした消費者が許したり忘れたりするだろうと期待すべきではない。しばしば軽蔑がただ強まるだけであり、また、中国政府への卑屈な謝罪は西側諸国の消費者を怒らせることがある。

 仏高級ブランドのクリスチャン・ディオールは3年前、中国の大学で開催された求人イベントで、台湾を含まない地図を使用した。すぐに中国のインターネット交流サイト(SNS)上で怒りの反応が広がり、同社は中国版ツイッター「微博」で、「ディオールは常に一つの中国の原則を尊重し、支持している」と述べて謝罪した。ジバンシーとベルサーチェは、台湾は独立しているとの見解をうっかり示唆した後、同様に謝罪した。