マイクロチップが都市だとすれば、それをより良くするために業界全体で用いられている新たな戦略は次の一言に要約できるかもしれない。スプロール化(無秩序な拡大)だ。われわれが使用する最もパワフルな機器に内蔵されたチップの中には、多くの「土地」を専有し、もはや「マイクロチップ」の域に収まらないものもある。スプロール化の方法の一つは、マイクロチップの積層だ。都市の空き地開発のようなものだが、新しい高層住宅ビルを建てる代わりに、メモリーや電力管理、グラフィックスなどの機能に使用される電気回路を積み重ね、コンピューター内部の通常は真っ平らなシリコンのタイルを複層化する。こうしたチップ設計の流れを促す背景には、一つのシンプルな現実がある。チップを継続的に高速化し、電子機器の能力を向上させることが絶えず求められているが、トランジスタを縮小して機器の性能を高めることで躍進を続ける半導体チップ業界の能力は、技術的な障害に直面しつつある。