ラッパーのトラヴィス・スコットは、米国のレイバーデー(9月第1月曜日)の連休中にヒップホップのプレミアイベント「Day N Vegas」に出演する予定だった。彼にとっては、昨年起きたアストロワールドの悲劇(自身の主催フェスティバルで観客10人が将棋倒しで死亡)以来、初めての登場となるはずだった。だが7月、主催者のゴールデンボイスは、物流やタイミング、制作上の問題を理由にこのイベントを中止した。事情に詳しい関係者によると、具体的には、会場確保の競争が激しくイベントの日程をラスベガスで最も暑い時期の週末にせざるを得なかったことで、チケット販売が伸びなかったのだという。2年間ライブが中断されていたコンサート業界は、過去最高の年になりそうな勢いだ。公演数もチケット販売数もこれまでを上回り、ファンは好きなアーティストを見るために大枚をはたいている。だが、ツアーがラッシュ状態にあることで、過去10年間ツアー市場の柱となっていた音楽フェスティバルに新たな課題が生じている。
受難の音楽フェス ライブ活況で観客争奪戦
2022年の現実は想定よりも困難
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