中国指導部は途上国向け融資の焦げ付きがここ数年急増する中、返済に窮する借り手への返済期限の延長や追加融資に応じている。こうした中国の戦略は、不良債権の計上に後ろ向きな銀行が借り手の返済能力がないと分かっていながら、返済期限を延ばして「見て見ぬふり」をするのに似ている。ところが、スリランカでは機能しなかった。債務負担に耐えきれなくなった政権が崩壊したためだ。世界的なインフレ高進や金利上昇を背景に、他の途上国でも金融の不安定化リスクが高まっており、中国は他国への融資手法を巡り、さらなる正念場を迎えている。中国は大幅な経済改革を借り手に迫ることなく支援することで、問題を解決するのではなく、むしろ債務危機を長引かせる恐れがある、と専門家は指摘している。中南米、アフリカ、欧州のいずれも、歴史を振り返ると、債務危機の解決には総じて債権国による債務減免と債務国による経済改革が必要だ。