株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズに答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。本稿では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、「チャート分析のポイント」について教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

チャートを見ないと、判断が遅れる
―― 窪田さんが執筆された『株トレ』は、チャート分析とファンダメンタルズ分析の2冊で構成されています。どのように使い分ければよいのでしょうか?
窪田真之(以下、窪田):株式投資に熱心な方の多くは、エコノミストやアナリストの経済・企業分析といったファンダメンタルズ分析の情報を参考にされていると思います。
こうした分析は非常に重要ですが、特に外国人投資家や投機筋が派手に動く局面では、チャートを見ていないと判断が遅れてしまいます。
―― ファンダメンタルズだけでは不十分ということでしょうか?
窪田:その通りです。ここ1年の日経平均の週足チャートを見てみましょう。
この1年で「令和のブラックマンデー」と「関税ショック」という2回の大きな急落がありました。
―― どちらも暴落前には日経平均が4万円を超える場面もありましたが、暴落後は3万円に迫る勢いで急落していますね。
窪田:日頃からチャートを確認していれば、こうした暴落とそれに続く急騰の動きに対応できたはずです。
暴落の直前のデッドクロス
―― チャートのどこがポイントなのでしょうか?
窪田:重要なポイントは2つあります。
1つ目は、13週移動平均線が26週移動平均線を上から下に突き抜ける「デッドクロス」です。

期間は、2024年1月から2025年7月22日9:30まで
窪田:デッドクロスの見方については、『株トレ』で詳細に説明しているので割愛しますが、いずれの暴落も、このデッドクロスが発生した直後に起きました。
この「売りシグナル」を捉えていれば、暴落の直前で売り抜けることができたでしょう。
「長い下ヒゲ」と「売買高の急増」
―― もう1つのポイントはどこでしょうか?
窪田:2つ目は、暴落の直後に見られる「長い下ヒゲのローソク足」と「売買高の急増」です。
これが「買いのシグナル」です。
一度大きく下落したものの、同じ週の間に出来高を伴って大きく買い戻されたことを示しています。
この買いシグナルを捉えていれば、その後の戻り相場で利益を上げることができたわけです。

期間は、2024年1月から2025年7月22日9:30まで
テクニカル分析を軽視してはいけない理由
―― ファンダメンタルズ分析だけでは、このような相場に対応するのは難しいのですね。
窪田:その通りです。私自身もファンドマネジャー時代には、毎週、東証の全銘柄のチャートをチェックし、ファンダメンタルズとテクニカルの両面からトレードの判断をしていました。ファンダメンタルズ分析だけでは、大きな間違いを犯す可能性があるからです。
もちろん、強いシグナルが頻繁に出現するわけではありません。ファンダメンタルズ分析も活用しながら、テクニカル分析と組み合わせて総合的に判断することが大切です。