エンターテインメント業界は長年、フィクションの中で演じられる英女王エリザベス2世を愛してきた。ドラマ「ザ・クラウン」であれ、戯曲「ジ・オーディエンス」であれ、映画「クィーン」であれ、エリザベス女王を堅苦しい貴族のイメージで描いた漫画や風刺画であれ、スクリーンや舞台上の女王は、本物でなくても観客にとっては、自分たちが知っている女王だった。8日に96歳で亡くなった女王を描写するには、制約の多かった公人の内面に立ち入る必要がある。それは時に、絵はがきの写真のように分かりやすく見えることもある。だがポップカルチャーの世界にあふれているのは、一瞬のまばたきや絶妙な間合いといった微妙なジェスチャーで感情を伝える女優たちが作り上げた、ドラマの中の多様な人物像だ。