米半導体大手インテルのパトリック・ゲルシンガー氏は目下、ワシントンで最も好かれている最高経営責任者(CEO)かもしれない。9日にオハイオ州コロンバスで行われた200億ドル(約2兆8600億円)規模の半導体製造工場の起工式で、ゲルシンガー氏は与野党双方の政治家に囲まれていた。オハイオ州のマイク・デワイン知事(共和党)とジョー・バイデン大統領(民主党)だ。「われわれは世界最先端の半導体をまさにこの地で製造する」。ゲルシンガー氏はこう宣言した。「米国が製造業の中核拠点としての地位と、疑いようのないテクノロジーの覇権を取り戻せるよう、われわれは半導体を提供する」ゲルシンガー氏の発言は、国内製造業の復活に執着する米国の政治家にとって非常に心地の良い響きとなっただろう。だが、向こう数年に世界で半導体製造工場(ファブ)建設に最大1000億ドルを投じる計画を含め、ゲルシンガー氏の構想に対するウォール街の反応は冷ややかだ。インテルの株価はゲルシンガー氏がトップに就任した2021年2月以降、約50%値下がりしている。時価総額では、先端半導体の販売で長年インテルの後塵を拝してきたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)に抜かれた。
米半導体の国内生産回帰、株主の要望とは矛盾
インテルをはじめとする米企業は、国内生産回帰を求める政治家の圧力と投資家の設備投資への抵抗に直面
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