米中関係がすでにあまりにも悪化しているため、さらなる緊張拡大の気配を少しでも嗅ぎつけると、市場は最悪の事態を想定してしまう。今回とばっちりを受けたのは、中国のバイオテクノロジー企業だ。ジョー・バイデン米大統領が12日、バイオテクノロジー産業の国内生産を促す大統領令に署名したことを受け、中国バイオテク企業の株価が下落。中でも売り上げの米国依存度が高い企業は下げが大きかった。今週に入って受託研究開発製造の薬明生物(ウーシー・バイオロジクス)は19%下落。同業の康龍化成(ファーマロン)は香港市場で8%下落し、杭州泰格医薬科技は6%下げている。今回の大統領令は現時点では具体的な内容はなく、関係省庁が報告書と対策の策定に着手するにとどまっている。だが念頭には中国への懸念があり、外国の敵対者や戦略上の競合がバイオテク分野のサプライチェーン(供給網)にもたらすリスクに言及している。米議員はかねて、医薬品や医療品の供給を中国に頼ることに懸念を表明してきた。新型コロナウイルス禍で懸念は一段と高まっている。