低価格ながら最新流行の化粧品をドラッグストアで販売することで知られる米elfビューティーは今年の春、コストの急上昇で利益が危うくなると、値上げを敢行し、比較的価格が高い製品も投入した。しかし3ドル(約430円)の口紅には手を付けなかった。タラン・アミン最高経営責任者(CEO)はインフレ率が上昇する中で、最も安い製品の価格を据え置くという賭けに出た。アミン氏はインタビューで、「製品の3分の1には手を付けなかった」と話した。口紅やまつげブラシやマスカラなど価格が数ドルのベストセラー製品などが値上げを免れた。インフレ率がおよそ40年ぶりの高水準で推移している米国では、価格設定は企業経営者が直面している最も頭の痛いテーマの一つだ。比較的小幅な値上げでも客がライバル企業の製品に逃げる消費財業界ではなおさらだ。