中国の習近平国家主席は2年前、2035年までに富を拡大し、中国経済の規模を倍増する野心的な目標を打ち出した。
政策担当者は、実現には向こう15年に年平均で5%近い成長をたたき出す必要があると試算していた。だが、ここにきて成長率5%の水準は今年に限らず、長期的にも達成不可能だとの見方が国内外のエコノミストの間で支配的となっている。
その最大の障壁となっているのが、習氏が掲げる政治的な政策課題だ。習氏は2012年に実権を握って以降、イデオロギーの正統性、国家安全保障、共産党支配を政策の柱に据えてきた。また経済における国家支配を拡大すべきとも強調。これがかつての爆発的な高度成長を支えてきた民間部門の活力を損なっているとの指摘は絶えない。
民間セクターのエコノミストや世界銀行などの機関は、今年の中国経済の成長率が3%程度に減速すると予想。当局がいずれ「ゼロコロナ」政策を緩和するとの前提で、来年にはおよそ4.5%に回復すると見込んでいる。ただ、労働人口の縮小や債務水準の増大を背景に、新型コロナウイルス禍前の水準は依然として回復できないとの見方が多い。