男性の3.5人に1人、女性は5.6人に1人が生涯未婚と、独身者は急増中。いまや「一生ひとりかもしれない」というのは、普通の感覚です。しかし、税金や社会保険などの制度は結婚して子どもがいる人を中心に設計されており、知らずにいると独身者は損をする可能性も。独身者と家族持ちとでは、本来お金についても老後対策についても「気を付けるべきポイント」が違います。独身者がひとりで楽しく自由に生きていくためにやっておくといい50のことを税理士の板倉京氏が著した「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、一部を抜粋して紹介します。
独身者は、年金生活に入ると”収入激減感”が強い
現役時代だけで比べると、食費や生活費、そして住宅費などの出費の総額は、独身者よりも、家族持ちのほうが大きくなりがちです。
さらに、子どもを持つと、子ども1人あたり1000万円~2000万円程度のお金がかかるといわれています。1人あたりの金額ですから、2人、3人と子どもがいる家庭は、とんでもない出費になってしまいます。
そう考えると、現役時代に関しては、教育費や子育て費用を支払わなくてもよい独身者のほうが、家族持ちよりも自由に使えるお金が多いのは事実です。
しかし、子育てが終わりリタイアすると、独身者よりも夫婦世帯の方が収入が多くなります。リタイア後の主な収入である年金は、独身者は1人分しかもらえません。
2019年度の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」の出した世帯別年金収入平均額をみてください。夫婦世帯と独身者の年金額の差は歴然です。
独身者は現役時代に老後のお金対策をしっかりと!
これは、ひと月あたりの額ですから年間で比べると100万円以上の差となるわけです。注目ポイントは、専業主婦(夫)世帯であっても、2人分の年金がでるということ。専業主婦(夫)で、自分では年金保険料を払っていなかった人も、国民年金がもらえます。
その上、一定の要件を満たす年下の妻(夫)がいる人は、年金に約39万円も上乗せして払ってもらえる「加給年金」なる制度もあります(妻〈夫〉が65歳になるまでの間)。
このように、独身者の年金は夫婦世帯と比べて、少なくなりがちです。しかも、先ほども書いたように、「生活費等のコスト効率」は独身者の方が悪いので、生活費等は夫婦世帯とさほど変わらないくらいかかることもあるでしょう。ですから、年金だけで生活することは、独身者にとって、より厳しいことだといえます。
女性は、より注意しておこう
特に女性は、一般的には男性よりも給与が低いので(日本では、男性に比べ女性の給与平均は74%)、もらえる年金額も少なくなりがちです。現役時代との収入格差をより強く体感する独身女性は多いのではないでしょうか。
しかも、女性は一般的に、男性よりも長生きです。その分長い老後への備えが大切になってきます。
*本記事は、独身者向けのお金&老後対策を書いた、板倉京著「ひとりで楽しく生きるためのお金大全」から、抜粋・編集して構成しています。