仕事を続けながら介護や子育てをするワーキングケアラー、子育てをしながら介護をするダブルケアラーの人たちが研さんした技術は、ビジネスの現場でも生かせる。具体的なケースからその神髄を学んでいこう。第6回は、父親健在、3人きょうだいの末っ子でありながら、「アルツハイマー型認知症」になった母親の介護を、たった一人で背負うことになった30代男性の事例だ。(ライター・グラフィックデザイナー 旦木瑞穂)
20代の時
67歳の母親が認知症に
北関東出身の山口祐吾さん(仮名、30代)は、7歳上の兄、2歳上の姉を持つ、3人きょうだいの末っ子だ。大学進学を機に上京し、都内で働いている。
兄は教員。精神疾患などで大学時代に障害者手帳を取得している姉は実家に引きこもり、母親に介護されていた。
長男だった父親は、50代後半の頃、自身の母親に介護が必要になったのをきっかけに実家へ移住しており別居中。その頃母親は、借家で娘(山口さんの姉)の面倒を見ながら、実家で一人暮らしの自身の母親も介護が必要になり、実家へ毎日通っていた。
山口さんは上京してからも、2~3カ月に1度は帰省していたが、姉が拒むため家の中へは入れず、母親と外で食事をして東京へ戻っていた。