仕事・子育て・介護を同時進行した女性が悟った「割り切り」の黄金比とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事を続けながら介護や子育てをするワーキングケアラー、子育てをしながら介護をするダブルケアラーの人たちが研さんした技術は、当然ながらビジネスの現場でも生かせる。具体的なケースからその神髄を学んでいこう。第2回は、子ども2人の育児、義父母の介護をしていたときに、自身には乳がんが見つかったダブルケアラーの女性の事例だ。(ライター・グラフィックデザイナー 旦木瑞穂)

「割り切り」には黄金比がある

 中部地方在住の鈴木知世さん(50代、仮名)は、3人姉妹の長女。もともとまじめで責任感が強い性格だが、高校生の頃、小さな会社を経営していた父親を45歳で亡くしてからは、「父の代わりに母や妹たちを支えるんだ!」とさらに使命感が強まったという。

 その関係は、鈴木さん自身や妹たちが結婚した後も継続中だ。鈴木さんが45歳になってすぐ、長妹に重い病気が判明すると、鈴木さんは病院の付き添いだけでなく、新しい治療法や評判の良い医師の情報を見つけては、直接話を聞きに行った。

 当時、鈴木さんは大手情報通信会社の正社員として働きながら、8歳と11歳の男の子の子育てをしていた。夫は単身赴任で、1年のほとんどは不在。鈴木さんが長妹の付き添いなどで家を空けるときは、隣に住む70代の義母が子どもたちの世話をしてくれた。

 ところが、同じく70代の義父に肺がんが判明し、入院。義母は義父のケアで手いっぱいに。鈴木さんは長妹と義両親のサポートをするため、3カ月間の介護休職を取得した。

 そんなある日のこと、義母が突然足の痛みを訴え始める。急いで病院へ連れていくと、脊椎に良性の腫瘍ができており、手術入院が決まる。同じ頃、義父の退院が決定し、鈴木さんが義父の世話をすることになった。