激動の時期に利益を得る一連のクオンツ型投資戦略ファンドは、このままいけば、少なくとも2000年以降で最高の年間運用成績を上げそうだ。こうしたファンドは、市場のボラティリティーが高い状態が今後も続き、運用成績をさらに押し上げることを期待している。
こうしたファンドは、価格の上昇や下落に応じてさまざまな資産に投資し、特定の市場トレンドが強まるにつれて投資額を増やしていく。アルゴリズムで警告サインが出れば、投資方針を変え、新しいポジションを取る。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げで株式や債券が打撃を被る中、こうした戦略は今年のほとんどの期間、数少ない安全な投資先を提供した。ソシエテ・ジェネラルとバークレーヘッジが運営するSG・CTA指数は、規模で上位20位までのクオンツ戦略の運用成績を追跡する。2022年はこれまで18%上昇し、このまま推移すれば、年間では2000年に導入されて以来最高のパフォーマンスとなる。
クオンツ・ファンドの価格は、市場でボラティリティーや不確実性が高まると上昇する傾向があり、「クライシスアルファ」という呼び名がある。ファンド内部では、投資マネジャーはさまざまな手段を用いて優位性を得ようとする。例えば、さまざまな期間にわたる市場シグナルを追跡したり、多様な先物市場に投資したり、異なる幾つかのボラティリティー制限を使ったりする。
ファンドのアルゴリズムは不透明で、特定の時期に構築されるポジションも同様だ。これらのファンドにはさまざまな名前があり、商品投資顧問業者(CTA)やマネージド・フューチャーズと呼ばれることもある。ほとんどの投資家はこうしたファンドについて、弱気相場に対するヘッジになるが、株価が好調な年にも利益を生むことができるとみている。
ダイナミック・ベータ・インベストメンツのマネジングメンバーで、iMGP DBiマネージド・フューチャーズ・ストラテジー上場投資信託(ETF)の共同ポートフォリオマネジャーを務めるアンドリュー・ビア氏は、「マネージド・フューチャーズは金融市場の局面が変化しているときにとても良い結果を出す」と述べ、「局面の変化はあとになってからだと明確に見えるが、非常に対処しにくいものだ」と付言した。