パウエル氏どこまで利上げ? FRB内部にも亀裂ニューヨークの食料品店(10月撮影)
PHOTO: TIMOTHY MULCARE FOR THE WALL STREET JOURNAL

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長はここ9カ月、1980年代以来となる急ピッチの利上げを進めてきた。その結果、金融市場は混乱。住宅市場は急激に冷え込み、リセッション(景気後退)が迫っているとの懸念が強まっている。だが、実のところ、ここまでは平たんな道のりだった。

 インフレが40年ぶりの水準に跳ね上がると、FRBは一枚岩となって積極的な利上げを推進してきた。しかしここにきて、インフレの高止まりがどれくらい持続し、かつどう対応すべきかを巡り、内部で亀裂が生じ始めている。

 インフレは来年着実に沈静化するとみる当局者は、早期の利上げ停止が望ましいと考えている。一方で、来年もインフレが十分に鈍化しないと懸念する向きもいる。実際にそうなれば、金利をさらに高く引き上げ、かつその水準で長く維持する必要が生じると主張する可能性が大きく、深刻な景気後退に陥るリスクも高まる。

 これは金利政策運営で次の段階へと向かうパウエル氏に難題を突きつける。同氏が直面するのは、インフレ退治に向けて金利をどこまで引き上げるか、またその水準をどれくらいの期間維持するのかという2つの問いだ。

 パウエル氏はインフレ抑制で行きすぎるよりも、不十分に終わる方がリスクが大きいとの考えを繰り返し強調しているが、一方で必要以上に景気を冷え込ませないよう、FRBはバランスをとるよう努めるとも述べている。