コロナ禍などの不確実性の高まりにより、クオンツ運用が苦戦している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 コロナ相場でクオンツ運用が苦戦している。今年2~3月の相場急落時、リスク管理モデルを組み入れたクオンツ運用の多くが、ストップロス・ルールによってポジション削減を余儀なくされた。中には、ボラティリティ(価格変動率)が一定水準を上回ると投資を中断するルールが設定されているものもあり、4月以降の戻り相場に全くついて行けないクオンツ運用が散見される。同業を悪く言うつもりはないが、客観的に見て「一体何が起きているのか!?」と訝(いぶか)しく思う事例すらある。

 10月6日のブルームバーグの記事『ウォール街を代表するクオンツ戦略家、伝統的クオンツ投資に見切り』は、そうした筆者の疑問を裏付けるものだ。同記事によれば、株式市場中立型のクオンツ運用は、過去1年、5年、10年のいずれの期間でもマイナスのリターンに終わっている。その上でウォール街の著名クオンツ戦略家は、「今のクオンツ運用は、バックテストや分散投資、平均回帰という伝統的な考え方に固執し過ぎている」と辛辣に批判しているという。

クオンツ対ジャッジメンタル
優劣でなくスタイルの違い

 クオンツ運用とは、過去の市場データを定量的に解析した上で、最適なリターンが得られるようプログラムを作成し、それを機械的に実行する運用スタイルの総称だ。一方、筆者が従事しているジャッジメンタル運用は、ファンドマネージャーが経験を通じて様々な市場の法則性を学習し、局面に応じてどの経験知を適用するかを判断する。

 両者は「論理か芸術か」という表現で対比されることが多い。それは優劣というよりスタイルの違いの問題だ。アプローチは異なるが、本質的な考え方は共通項が多い。

 ところが前述のクオンツ戦略家が指摘するように、クオンツ運用は構造的な問題に突き当たっているようだ。クオンツ運用では、プログラムの有効性を確かめるため、過去の市場データを使って「バックテスト」と呼ばれる検証作業を行う。その検証結果が良好なクオンツ運用ほど、精度が高く優れた成果を生み出すと信じられてきた。しかし近年は、過去データ通りに相場が反応しないケースが増えており、バックテストの結果を信用できなくなっている。