「ゼロコロナ政策」に対する抗議デモが中国を席巻した先月の3日間、イタリア在住の30歳の中国人芸術家はパソコンの前に張りつき、デモが広がる様子を発信し続けた。自身のツイッターのフォロワーからはリアルタイムの光景が次々と送られてきた。中国のソーシャルメディア・プラットフォームでは抗議活動の画像がすぐに削除された。そのため中国はもちろん世界中の人々がツイッターに情報を求めた。それに伴い、フォロワーに「李老師(先生)」と呼ばれる芸術家のリー・インさんは、情報拡散に不可欠な一人きりのニュースハブとなった。中国ではツイッターが遮断されたが、本土の市民は仮想私設網(VPN)を経由してアクセスが可能だ。李さんは2020年にツイッターアカウントを開設し、今年4月に中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」から完全に移行。その後、李さんのアカウントは瞬く間に注目を集めた。鴻海精密工業(フォックスコン)で働く労働者やロックダウン(都市封鎖)下に置かれた都市の住民などから中国の厳格なコロナ管理に対する不平不満を集め、再投稿したからだ。
抗議デモTwitterで拡散、在外中国人が情報ハブ
イタリア在住の「李先生」、反ゼロコロナ政策の闘いで情報発信の立役者に
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