ゲーム開発大手アクティビジョン・ブリザードの買収を巡るマイクロソフトの戦いは2つの意味で皮肉だ。一つは、ゲーム機「Xbox(エックスボックス)」の先に進んでいると規制当局――今では判事――を納得させられるかどうかで買収の行方が決まりかねないことで、もう一つはこの買収が他の大手テクノロジー企業2社の市場支配力をそぐ手掛かりになる可能性があることだ。マイクロソフトはビデオゲーム業界では後発組だった。2001年終盤に初代Xboxを発売する何年も前にソニーグループと任天堂は独自のゲーム機で強固な事業を作り上げていた。当時、ビデオゲームはゲーム機でプレーするのが主流で、ゲーム機メーカーはそれぞれ自社のエコシステムにプレーヤーを抱え込もうと独占コンテンツを懸命に積み上げた。こうした独占ゲームの存在によって、どのプラットフォームでも配信されていた「コールオブデューティ」などの超人気ゲームシリーズの価値が高まった。