NECPhoto:123RF

行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱の渦に巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は富士通、NTTデータなど「システム/ソフトウエア」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

富士通は営業利益「過去最高」
NECは4割の営業減益

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のシステム/ソフトウエア業界4社。対象期間は22年5~9月の四半期(4社いずれも22年7~9月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・富士通
 増収率:3.0%(四半期の売上収益8864億円)
・NTTデータ
 増収率:11.7%(四半期の売上高6941億円)
・野村総合研究所
 増収率:14.9%(四半期の売上収益1715億円)
・NEC
 増収率:8.9%(四半期の売上収益7957億円)

 システム/ソフトウエア業界の主要4社は、いずれも前年同期比で増収となった。中でも、NTTデータと野村総合研究所は2桁増収と好調だ。

 一方、NECは22年4~6月期の四半期増収率(1.2%増)から大きく伸びたが、2桁増収とはならなかった。富士通は22年4~6月期の四半期増収率(2.1%)から微増にとどまった。

 これまでも本連載では、四半期決算でNTTデータ・野村総合研究所が「勝ち組」、富士通とNECが「負け組」になるなど、業界内で明暗が分かれるケースが多いことを指摘してきた。
 
 今回も増収率の面では、その構図が継続しているといえるだろう。

 ただし「負け組」2社の利益面に着目すると、その中でも勝敗が鮮明になっていることが分かる。上半期(22年4~9月期)累計の営業利益において、富士通が「過去最高」を更新した一方、NECは約4割の大幅減益となったのだ。

 この大格差の背景には、それぞれに特殊事情があった。その要因は何だったのか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、富士通とNECの売上収益・営業利益の増減要因を解説する。