人類が優れたリーダーシップをかつてないほど喫緊に必要としている今、世界のリーダーシップの質は低下しているのだろうか。ヘンリー・キッシンジャー氏はまさにそのような状況にあると考えており、その結果、文明が危機に瀕(ひん)しているのではないかと懸念している。今月、一緒に長い昼食をとりながら同氏の考えを知った。キッシンジャー氏が懸念するのも当然だ。同氏の最初の著書「回復された世界平和」(1957年)には、現在まで彼の考えを支配してきたいくつかの基本的な考え方が書かれている。世界秩序の複雑な構造を理解している人は常に一握りであり、たとえ部分的にでも平和を可能にする繊細な国際的枠組みを構築し、守り、改革するために必要な指導力を持つ人はもっと少ないとキッシンジャー氏は考えている。