2023年の米国経済を巡るエコノミストの予想がおおむね二つに割れている。緩やかなリセッション(景気後退)に陥るとの見方と、リセッションをぎりぎり回避してソフトランディング(軟着陸)するとの見方だ。もし、多くのエコノミストが考えるように労働市場が大きな打撃を受けなければ、どちらに転んでも大半の消費者にとってそれほどひどい状況にはならないかもしれない。ただ、米国の株式市場を占める企業の多くにとっては、ソフトランディングでさえ大きな痛みをもたらしかねない。インフレ抑制を目指す米連邦準備制度理事会(FRB)は、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジの中央値をここ1年で0.125%から4.374%まで引き上げ、利上げ継続を示唆している。利上げ効果の全容が表れるまでには時間がかかるものだが、すでに大きなダメージをもたらしていることは住宅市場を見れば明らかだ。一方、他国の中央銀行も利上げを進めており、多くの国がすでに米国より状況が悪化していることを踏まえると、米経済への圧力は今後強まると思われる。