2022年のドル相場の急騰は、この主要通貨が世界経済に痛みを与え得ることをあらためて痛感させた。そのドル高局面が終わったと、投資家は楽観している。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は、今年初めから12月28日までに8.9%上昇した。22年通年で14年以来の上げ幅を記録する見通しだ。同指数は9月下旬に01年以来の高水準でピークをつけた。ドルはその後、米国のインフレ鈍化が見込まれる中でこの直近ピークから上げ幅を約半分に縮め、守勢で年末を迎えた。ドル相場が21年も上昇していただけに、大半の投資家が今年のドル高に不意を突かれた。当時、市場はインフレが一過性だとみており、インフレ抑制へ米連邦準備制度理事会(FRB)が22年に利上げを開始するとの見方がドルの支援材料だった。ドルが買われ過ぎだとして下落を予測する投資家もいた。