この2年間はサプライチェーン(供給網)の混乱、海上輸送能力の制約、コンテナ運賃の急上昇が見られた。だが2023年は、少なくとも世界の海運大手にとっては思わしくない方向に風向きが変わりそうだ。スポット(随時)契約のコンテナ運賃は22年序盤に下げ始め、年後半には下落ペースが加速した。ロンドンの海事コンサルティング会社ドリューリー・シッピング・コンサルタンツがまとめる世界コンテナ運賃指数(WCI)は22年に77%低下し、一段の下げも見込まれる。これは海運業界の記録的な好業績の終わりを示す合図だ。足元の海運料金は新型コロナウイルス流行前とあまり変わらない水準にある。新年は海運業界の価格競争が激化しそうだ。米国はインフレと金利が高水準で推移する中で経済成長ペースが落ち、欧州のエネルギー危機も景気後退をもたらし得る。業界は大量の新船舶の納入を受けようとしており、需要の「崖」が忍び寄っている。
海運業界、2023年の危うい船路
価格競争が激化する見通し
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