ウクライナはロシアとの戦いで、米国防総省が巨額の資金と数十年の歳月を費やして目指している戦略を、わずかな予算で実現している。兵士と情報・兵器をネットでつなぐ戦力のデジタル化だ。  ウクライナ軍は通信衛星やソフトウエア経由でドローンや兵士、兵器を結ぶことで、当初の兵力で圧倒的に勝っていたロシア軍を相手に、戦況を有利に運ぶだけの機密や連携、精密さを確保してきた。  市販品を中心に構築されたウクライナの雑多なシステムはなお、米軍の巨大かつ極めて野心的なデジタル化の取り組みの足元にも及ばない。米軍が進めるデジタル化は技術の発展とともに拡大し、「ネットワーク中心の戦い」とも呼ばれている。