老舗婦人服アパレル企業が手がけるこだわりのフルオーダー作業服が話題に

「『着る』企業改革」――そんな斬新なキャッチフレーズの下、“服飾作りのプロ”が作るオーダーワーキングウエアが話題を集めている。(取材・文/大沢玲子)

老舗婦人服アパレル企業が手がけるこだわりのフルオーダー作業服が話題に代表取締役の小島茂義氏(左)と取締役副社長の小島仁美氏(右)

 手がけるのは、繊維関連企業が集積し「繊維のまち」として知られる愛知県一宮市の小島巌商店だ。1939年の創業以来、一貫して婦人服製造卸業としてミセスアパレル商品の企画・製造を手がけてきた老舗企業。「全国200社のお取引先に、長年培ってきた経験と技術で品質にこだわった商品をお届けしてきました」と、代表取締役の小島茂義氏は語る。

 その強みは流行や情報を取り入れた独自の企画力と、生地製造・裁断、加工・縫製、プレスを手がける工場との幅広いネットワークと信頼関係にある。同社商品は店頭での試着後の購買率が高いと、バイヤーからも定評がある。

全社員の要望を基に提案
理想の制服を形にしていく

 こうした強みを生かし、新たに乗り出したのがオリジナルの作業服作りだ。きっかけは、いちい信用金庫主催の女性経営者向け勉強会に、同社取締役副社長・小島仁美氏が参加したこと。「オーダーメードで作業服を作ってくれる会社を探していると紹介を受け、社内で検討し、チャレンジを決意しました」(仁美氏)。

 すぐに依頼先の金型メーカーであるエムケイケイ(愛知県)に出向き、作業服刷新の狙いや思いをヒアリング。“良い製品はきれいな作業環境から生まれる”という考えに基づき、あえて白い作業服に刷新し、工場のクリーン化を目指したいという同社社長の熱い思いを聞き、2021年12月から作業をスタートした。

 同じ服飾とはいえ、おしゃれ着の婦人服と作業服では求められるものが異なるが、顧客の要望を最適な形で提案し、具現化していくアプローチはお手のもの。「最終的には社員全員に参加いただき、『こんな作業服がいい』という意見をまとめ、形にしていきました」(仁美氏)。