大手カーテンメーカーからの請負製造を長く手がけてきたカーテン専門縫製所が、独自開発による自社ブランドを立ち上げ、注目を集めている。滋賀県伊吹山麓に位置するインテリアナガオカだ。(取材・文/大沢玲子)
同社代表取締役社長の細田弘氏は、地場産業だった女性用補正下着製造企業を経て、1971年、内装工事業で独立。78年より得意の縫製技術を生かしたカーテン製造に特化し、新工場を設立。国内初のバーコード管理システムを導入した品質管理の徹底や、納品物の完成度の高さから、業界でも広く支持を集めていく。
だが、海外製品や大手インテリア会社の台頭などで価格競争が激化。「下請け製造に依存する事業モデルからの脱却が課題でした」。細田氏はそう明かす。
顧客から寄せられていた「窓の結露でカーテンに生えるカビを防止できないか」といった声も参考に、試行錯誤を経て、抗菌性能の付加価値を付けたオリジナルカーテンの開発を着想する。
縫製後のカーテンへの
光触媒加工で特許取得
そこで目を付けたのが「光触媒」だ。光触媒とは、光を吸収して触媒作用を示す(化学反応を促進する)物質の総称で、有機物や細菌の分解促進機能を持つ。
化学メーカーとも連携し、屋内で使うカーテンに合わせ、LED電球などほのかな光でも反応する高性能光触媒を採用。さらにカーテンへの後加工で光触媒を定着させる製造方法を実現するべく、平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」による資金サポートで、設備投資を実施。
滋賀県立大学の協力による特性評価なども実施しながら、2016年には製造方法の特許、19年には縫製後の加工カーテンとしては初の抗菌素材の公的認証(繊維評価技術協議会)であるSEKマーク(抗菌防臭加工)を取得。20年、新たな商標名「AIRPURIC」として販売に至る。