顧客の要望に応える老舗「粉砕機」メーカー 独自の職場環境づくりで社員満足度も向上

――創業96年の歴史を持つ「粉砕機」のメーカーだそうですね。

工藤 弊社のある岐阜県・東濃地域は美濃焼の産地で、古くから窯業が盛んに行われてきました。そうした窯業の原料となるセラミックスを粉砕し、粉体にする機械を、創業当初から作っています。

 粉砕機には、数十~100mm程度の原料を数ミリメートルレベルに粉砕する「粗粉砕機」、小さな原料をマイクロメートル単位まで粉砕する「微粉砕機」などがあり、弊社は両方手がけていますが、特に、微粉砕機の一つである「ボールミル」が中心です。

――どんなセラミックスを粉砕しているのですか?

工藤 創業から数十年間は、陶磁器やガラスなどオールドセラミックスの原料を粉砕する機械が主力でしたが、1980年代からはアルミナやジルコンといったファインセラミックスの原料を粉砕する機械が主力になりました。近年は、高機能素材の粉砕にも取り組んでいます。

――粉砕機メーカーは他にもありますが、御社の強みとは?

工藤 「粉砕機の性能がよい」「丈夫で壊れにくい」は当たり前。それに加え、「お客さまが困っていることに対して、柔軟に対応できること」だと自負しています。

顧客の要望に応える老舗「粉砕機」メーカー 独自の職場環境づくりで社員満足度も向上代表取締役・工藤好功氏。1955年、岐阜県生まれ。大学卒業後、家業を継ぐ前に夢への挑戦を懸け、「プロ野球入団試験」を受験し、最終試験まで残るが合格ならず。社会人野球で活躍した後、中工精機に入社。91年に社長就任。

 お客さまからは「この新しい素材を粉砕できないか」「温度が上がると性質が変わる熱変性の高い原料を、温度を上げずに粉砕できないか」とさまざまな相談が舞い込みます。弊社は、設計から製造まで一貫して社内で行っているので、カスタマイズも自由自在にできます。ターニング&ドリルや、マシニングセンターといった機械加工設備も充実させていて、部品も内製できるので、お客さまの要望にスピーディーにお応えできるのです。

 例えば、熱変性の高い原料の相談では、水で冷却しながら粉砕するウォータージャケットタイプのボールミルをご提案しました。用途によってはさらにボールミルの設計を変えることも可能です。また、ミル内の張り替えやロールの研磨など、アフターサポートも行っています。