例えば、袖にボタンがあると作業の支障になると聞き、代わりに袖の内側に収縮性があるリブ生地を使用。動きやすいように、上着の肘やズボンの膝部分など、細かな部分にタックを入れ、胸や腕部分にペン差し用ポケットを配置。金属アレルギーに対応するべくプラスチック製のボタンを使用する。こうした機能性に加え、アクセントのかんぬきや胸部分にコーポレートカラーを配置するなど見た目にもこだわり抜く。
全部で40パーツにも及ぶ手間のかかる縫製は、培ってきたネットワークを活用し、腕利きの職人がいる複数の国内工場を探し、依頼。使用するジャージー生地やボタン一つを取っても、協力会社とのタッグにより最適な選択が実現した。
純国産にこだわり、高機能、
着心地のよさを実現する
●株式会社小島巌商店 事業内容/婦人服製造卸、オーダーワーキングウエア企画・製造、/従業員数11人、売上高/5億円(2021年度)、所在地/愛知県一宮市木曽川町黒田高田64-1、電話/0586-87-3800、URL/kojimaiwaoshoten.co.jp
こうしてこだわりのオーダーワーキングウエアの第1号が、22年9月に完成。今後は第1号の製作で培った知見を生かし、短期間での納品を実現。オーダー条件の予算目安は1着1万9800円〜(税抜き・上着・30枚ロット)。素材やカラーも好みを選べ、丁寧な採寸でぴったりの作業服が実現するのも、国内で縫製しながら仕立て、品質を追求する“メード・イン・ジャパン”ならではだ。
オーダーメードの制服や作業服がもたらす効果は機能性や見た目のよさだけではない。「社員全員で意見を出し合うことで、結束力が高まったというお声も頂いています」(茂義氏)。冒頭の「『着る』企業改革」というキャッチフレーズ通り、「着心地のいい制服・作業服を取り入れることで、社員のやる気や定着率アップなど、企業が抱える課題解決にも貢献していきたいですね」と意気込む。
コロナ禍による婦人服需要低迷などの経営リスクも乗り越え、新分野の需要掘り起こしに成功した同社。日本経済を支えてきた国内の繊維産業復権の起爆剤としても期待したい。
(「しんきん経営情報」2023年1月号掲載、協力/いちい信用金庫)