東西冷戦が終わってしばらくの間、オーストラリアは国際政治の場において、ある種のへき地のような位置付けにあった。鉱物資源が豊富で地理的に主要国から離れていたことから「幸運の国」として広く知られていたオーストラリア。その国民は米国民と比べても世界情勢との関わりが少ないことがよくあった。しかし、筆者が今週知ったように、オーストラリアの国民は現在、自分たちが国際情勢の新しく、かつ危険な時代の最前線に置かれていると考えている。筆者は、オーストラリア/イスラエル・ユダヤ情勢協議会の招待でオーストラリアを訪れ、米国とイスラエルの関係に関する最近の著書について一連の講演を行った。だが、著書の宣伝や中東政治に関する議論に思ったほど時間を取られることはなく、むしろオーストラリアの政策立案を担う高官や学者、ジャーナリストらを相手に、勢いが強まる国際情勢の荒波について冷静な意見交換を行うことが多かった。