2016年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの奇跡』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの奇跡Photo: Adobe Stock

物事がうまくいかないのは、「感謝」の気持ちが足りないから

 私たちは未熟なので、「あれが足りない」「これが足りない」と言い続けていますが、「本当に必要なものは、すでに神様から与えられている」と考えることができます。

 私たちは「週に1日は休みたい」「月の休みがほしい」「年の休みがほしい」と言います。

 でも、人間の臓器は、お休みをしていません。もちろん、夜も寝ていません。365日、働き続け、それでも臓器は「月に1回や2回、休ませて」とは言いません。

 今、こうして生きていられるのは、休まないで動き続けている細胞や臓器のおかげなのに、そのことに「感謝」をせず、「足りないものばかり」に目を向けています。

 私たちは、心臓や、肝臓や、膵臓といった臓器から、たくさんのことをしていただいています。

 それなのに、感謝を言ったことはありません。右手で心臓に手を当てて、「ありがとう」と言ってみてください。それだけで、心臓はやる気になるでしょう。

10年間続いているパン屋さんの話

 ご家族でパン屋さんを営む女性から、相談を受けたことがあります。

「10年間、小さなパン屋をやってきました。今まで、それなりに順調だったと思います。ただひとつだけ問題があるとすれば、売上が横ばいのままで、なかなか伸びていかないんです。売上を右肩上がりにするには、どうしたらいいのでしょうか?」

 私は、その女性に尋ねました。

「パン屋さんは、朝が早いですよね。午前4時ころには起きて、パンを焼きはじめるのではないですか?」

「そうです」

「妻を手伝って、夫はそれを、10年間、一緒に続けてきてくれたわけですね」

「そうです」

「子どもはいますか?」

「2人います」

「子どもは、お店を手伝ったりしませんか?」

「小学校から帰ってくると、袋詰めなどを手伝ってくれます」

「10年間もやってこられたということは、お客さんにも恵まれているのですよね」

「そうかもしれません」

「では聞きますね。10年間、朝早く起きてパンを焼いてきた夫に、手を合わせて『ありがとう』と感謝をしたことはありますか?仕事を手伝ってくれる子どもたちに、手を合わせて『ありがとう』と感謝をしたことはありますか?ずっとパンを買いにきてくださったお客様一人ひとりに、『ありがとう』と感謝をしたことはありますか?」

 その女性は「えっ!」と言ったきり、しばらく黙ってしまいました。

 仕事熱心な夫がいる。仕事を手伝ってくれる優しい子どもたちがいる。いつもパンを買いにきてくれるお客様がいる。

 感謝すべきことは山ほどあるのに、そのことに気がつかない。

売上が上がらない」という一点だけに気持ちを奪われ、「神様なんとかしてください」とお願いする。それは、「神様に宣戦布告している」のと同じことです。

 私が神様なら、「感謝をしない人」の味方につくことはないでしょう。

 たくさんの恵みを与えているのに、どうして気がつかないのか。どうして不足していると思うのかと、疑問に思ってしまうでしょう。

「物事が思うようにいかない」と感じるとしたら、それはあなたの「感謝が足りないから」かもしれません。