中国と米国の対立は激しさを増しており、コンピューターチップの工場から米上空を飛ぶ偵察目的とみられる気球にまで及んでいる。その背景にあるのは、技術的な優位性を巡る争いだ。中国は長年にわたり、多額の研究費を投じて最先端技術の開発に努めてきた。欧米の政府関係者や経営者によれば、中国は法制度を駆使して他国から技術を奪い取ろうとしている。米国と欧州連合(EU)の当局者は、中国が自国の法廷や特許審査委員会を利用して外国の知的財産権を侵害し、中国企業を助けていると非難している。こうした動きは、技術、医薬品、レアアース(希土類)など、中国が重要だと考える産業に集中しているという。米国のX線装置メーカーは、10年前の特許を中国の審査委員会に無効とされた。スペインの携帯電話用アンテナの設計会社は、上海の裁判所で同様の争いに敗れた。また、日本企業が中国のライバル企業への特許ライセンス供与を拒否し、独占禁止法に違反したとする判決も出された。