「子どもに幸せになってほしい」というのは、すべての親に共通する願いだろう。子どものために、親がしてあげられることはいったい何だろうか?
そのヒントになるのが、「絶対に後悔しないお金と時間の使い方」を指南するベストセラー書籍『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』だ。本稿では、本書の内容をベースに、「子どもを不幸にする親」に共通する“お金の使い方”の特徴をご紹介する。(構成/根本隼)

【やってはいけない】「子どもを不幸にする親」に共通する“絶対NGなお金の使い方”とは?Photo:Adobe Stock

「子どもの幸福」を基準にお金のことを考える

 気づいている人はあまり多くないかもしれないが、自分の資産を「相続」するか、それとも「生前贈与」するかで、受け取る側の子どもの「幸福度」は大きく変わる。

 相続とは、ある人が亡くなったときに財産を受け継ぐこと。一方の生前贈与は、生きているうちに財産を譲り渡すことだ。子どもの視点に立ったとき、より有益なのはどちらだろうか?

 『DIE WITH ZERO』は、相続ではなく、絶対に「生前贈与」で早めに譲渡すべきだ、と主張している。というのも、「人がいつ死ぬか」は誰にも分からず、相続のタイミングは偶然に左右されるからだ。

 そもそも、親が死ぬときに子どもが存命である保証はどこにもない。そのため、子どもの幸せを真剣に考えるならば、子どもがお金を必要としている時期に、計画的に資産を譲る「生前贈与」が最適だ、というのが本書のメッセージだ。

子どもを「不幸」にする親=死ぬまでお金を譲り渡さない

 本書によると、多くの場合、相続を受けた時点で、子どもがお金を最大限に活用できる年齢は過ぎている。というのも、20代後半以降は、お金から価値を引き出す能力が徐々に下降していくからだ。

 偶発的で遅いタイミングにお金をもらってもあまり嬉しくなく、むしろ「もっと早くほしかった」というのが子どもの本音かもしれない。

 そこで、本稿では、自分と家族が幸せな一生を送るための「お金の使い方」を説いた『DIE WITH ZERO』より、相続が遅すぎてお金を有効活用できなかった「残念な事例」を紹介する。

生活がどん底だったときにお金をもらえなかった娘の話

 これは、十分な財産がある母親がいながら、厳しい経済状況に苦しんだ女性の記事の概略である。

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 バージニア・コリンは離婚後、何年間も金に苦労した。元夫がろくに養育費を入れなかったため、貧困の一歩手前で4人の子どもを自力で育てなければならなかったからだ。後に再婚し、好条件のパートタイムの職についたとき、ようやく家計は安定した。

 49歳のとき、当時76歳だった母親が亡くなり、バージニアを含む5人兄弟は、それぞれ13万ドルを受け取った。

 もちろん、大金を得たことはとてもうれしい。「でも、もっと若い頃にもらえていたら、ずっと価値があったはずよ」とバージニアは言う。「その時点で、私はもう貧困の瀬戸際にはいなかった。」

 バージニアが手にした13万ドルは、もし10年前か20年前に手にしていたら彼女と4人の子どもたちの命をつなぐ金になっていたはずだ。だが、タイミングを逃したために、思いがけず転がり込んできたボーナスのようなものにしかならなかった。
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 何と残念な話だろう。彼女の両親には金がたくさんあった。しかし、世間の大勢の人と同じく、死ぬまでそれを子どもたちに分け与えようとしなかった。娘が、必死になって家族を養っていたのに、だ。
(P.118~120)

(本稿は、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』より一部を抜粋・編集して構成しました)