1点目は、難題である流路部分がブロックとして既に仕上がっているため、左官経験が少ない人でも施工できること。「近年では左官職人が大幅に減少し、人員の確保が大きなハードルとなっています」と前山氏。インバルブロックなら、マンホール内へ据え付け、ブロック脇にコンクリートを詰め、モルタルで上塗りするだけの施工で、熟練技術は不要だ。
マンホールの管径や流出入口の角度によって、ブロックの種類も多種多様
2点目は経済性が優れていること。設置したブロックを足場にしながら作業できるため、足場確保の手間もなく流路部分のコンクリートの乾燥を待つ時間も減少。施工時間を大幅に短縮でき、出来高も向上する。
3点目が、補修工事で汚水の流入がある場合でも、バイパス工事が不要な点だ。「マンホール内にブロックを設置し、水の流入・流出部分を速乾性コンクリートでつなげば、即座に汚水の流れを確保できます」（前山氏）。工期削減により、道路封鎖・交通整理の時間や手間も省け、コスト削減が実現する。
メタンガス発生による
爆発事故対応も見据える
全国の建材販売店を対象に、注文を受け、配送している。オンライン対応で販路拡大を目指す●株式会社アイビージャパン 事業内容／「インバルブロック」の製造販売、所在地／岐阜県可児市西帷子1199-1、電話／0574-66-9700、URL／inbalblock.com
ブロックの種類は、流入・流出角度、管径など幅広くそろい、流入・流出で管径が異なる異形管型、特殊角度などにはフルオーダーで対応する。
「マンホール内に汚水がたまると、悪臭や硫化水素、メタンガスなどが発生し、爆発事故などにつながるケースもあります」と前山氏。直近でも、2022年12月にマンホール内で汚水くみ上げ作業中にメタンガスによる爆発で死者が出る事故も起こっており、「今後はメタンガスが発生しにくいコンクリートや上塗り用の塗料など、新たな商品開発にも取り組んでいきたいですね」と語る。
前山氏は22年6月に同社を引き継いだのを機に、SNSを活用した宣伝、Web注文への対応などにも注力。新たな施策の展開により、生活に欠かせないインフラ工事を支える“縁の下の力持ち”的存在として、さらに注目を集めそうだ。
（「しんきん経営情報」2023年3月号掲載、協力／東濃信用金庫）
