給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【株式投資必修講座 ステップ 6】配当利回りを使った有効な投資戦略とは?Photo: Adobe Stock

配当利回りは、割安さを見る1つの指標

 配当(はいとう)も株価の値上がり益とともに、株の大事なメリットの1つです。

 配当とは、会社が稼いだ純利益(税引き後の利益)の中から株主に分配する金額です。

 1株配(1株当たりの配当金額)を株価で割れば、配当利回りが計算できます。

 下図では、日本を代表する優良企業の中からいくつか配当利回りの例を挙げていますが、3~5%程度と結構高い利回りです。銀行にお金を預けてもほとんど金利が付かない低金利の状況の中、これらの利回りは非常に魅力的に感じられます。

 ただし、配当は確定しているものでも、保証されているものでもありません

 また、株の場合は元本も保証されてはいません。そうしたことから、銀行預金や国債などに比べ、リスクがある商品であることは確かです。

安い株価で買うほど、利回りは高くなる

 しかし、会社の利益が伸びれば、配当も増えます。上図で挙げた5社のうち、NTT以外の4社は、この10年で配当を2~3倍程度に増やしています。

 配当利回りの式を見るとわかるように、安い株価で買うほど利回りは高くなります。

 たとえば、1株配が50円で株価が2000円なら配当利回りは2・5%ですが、この株を1000円で買えば、配当利回りは5%にアップします。

 つまり、配当利回りが高いということは、その株が割安であるということを意味します。配当利回りも割安さを見る1つの指標なのです。

 成長性のある優良企業を高い配当利回りの時に買うのは、有効な投資戦略の1つです。

 ただし、配当利回りが高いということは、何らかのリスクを警戒して株価が安くなっている可能性もあるので、高配当利回りの株ほどリスク要因をよく検討する必要があるという点は、留意しておきましょう。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/