オンライン診療、オンライン服薬指導、電子処方箋――。医療のデジタル活用が進む中で、通信大手各社による調剤薬局のオンラインサービスを取り込んだ経済圏競争が始まった。IT巨人の米アマゾン・ドット・コムが処方薬を扱う“アマゾン薬局”を日本で仕掛けてくる前に、通信大手は自らが抱える経済圏の顧客をヘルスケア分野に取り込み、またヘルスケアサービスから経済圏に新たな顧客を引き込めるか。特集『薬局・薬剤師 サバイバルダンス』(全24回)の#6では、通信大手の試行錯誤に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
リアル店舗の再編に姿を見せない
ドコモやKDDIの経済圏争い
オンラインでの診療や服薬指導がコロナ禍を経て本格解禁され、2023年には医療機関や薬局が扱う処方箋を電子化した「電子処方箋」の導入が始まった。要は非対面のオンラインで医療機関を受診して処方箋を出してもらい、薬剤師の服薬指導を経て処方薬を自宅に届けてもらえる時代になった。
調剤薬局は当然、オンラインで服薬指導する体制を整えてきているが、ここに経済圏を広げてきているのが通信大手だ。薬局・ドラッグストア業界の再編が進む中で、買い手プレーヤーに彼らの名が挙がっているわけではない。リアル店舗の争奪に姿を見せなくても、実はデジタルサイドから薬局を巡る経済圏バトルを展開している。
次ページでは、薬局サービスを巡るNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ、楽天グループの経済圏争いを詳らかにするとともに、米アマゾン・ドット・コムの脅威に迫る。