ダイヤモンド編集部が選定するレジェンド農家ベスト20で2位となった日本農業は、リンゴの輸出やキウイの国内シェア拡大をテコにして急成長している。売上高は4年間で5倍に増やすことを見込む。特集『儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態』(全17回)の#13では、戦略系コンサルや大手商社出身の若者たちが立ち上げた同社の強みに迫った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
売上高は4年間で5倍の50億円に拡大
急成長が続くビジネスモデルの秘密は?
レジェンド農家2位の日本農業グループ(東京都)は、戦略系コンサルや大手商社出身の若者たちが立ち上げたビジネス志向の強い農業ベンチャー。2020年3月期に10億円だった売上高は、4年で50億円まで拡大する見通しだ。
マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の内藤祥平代表は「国内の農業は生産者は生産だけ、選果は選果だけ、販売は販売だけをしていて、ぶつ切り構造だった」と指摘する。日本農業は一気通貫で生産から販売まで手掛け、バリューチェーン全体で最適化を目指す。
従来の農業界には珍しい、コンサルや商社出身のビジネスに通じた人材を投入。既存の農業者が投資してこなかったような規模で資金を投じることによって、儲かるバリューチェーンを構築してきた。販売の主軸を輸出に置き、成長著しい海外需要を取り込みながら、売上高を拡大させている。
事業の柱は売上高の8割を占めるリンゴ。最初の商材にリンゴを選んだ理由は、ビジネス志向の強い同社らしく合理的な計算に基づくものだった。次ページでは、その理由を明らかにするとともに、急成長を続けている日本農業のビジネスモデルの秘密に迫る。