石油ブームで豊富な資金を手にしたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(37)は外交政策やビジネス上で、米中ロのいずれの側にもつかないことが可能かどうかを試すような動きを見せている。サウジの事実上の支配者であるムハンマド皇太子は、過去にはその意思決定が不安定だと批判されてきたが、先週、中国の仲介で対立関係にあったイランとの外交関係修復に合意したことは、皇太子の抜け目のない現実主義を示した。今回の合意はペルシャ湾岸全域の緊張を緩和し、サウジを最大の貿易相手国である中国に近づけるものだ。これによって安全保障上の最大のパートナーである米国との関係が悪化することはないとみられる。米当局者らは緊張緩和を前向きな動きととらえている。