米テック企業の大規模人員削減は続くかもしれない。だが小売り大手は、従業員のつなぎとめに躍起になっている。米小売り各社は新型コロナウイルス流行期を通じて賃金を上げてきたが、賃金上昇圧力はまだ続くと予想している。ウォルマートは今年に入り、米国の時給制従業員の賃金を引き上げ、一番低い時給を12ドル(約1600円)から14ドルにすると発表。同社の平均時給は17.50ドルを上回ることになる。ホームセンター大手ホーム・デポは2月の決算説明会で、時給制従業員の賃上げに10億ドルを充てると表明。ディスカウントチェーン大手ダラー・ツリーは、賃上げと業務改善に本年度4億3000万ドルを投じる方針を示した。小売業界では厳しい人材獲得競争が続く可能性が高い。業界の離職率は2021年12月に過去最高に達した後いったん落ち着いたものの、22年7月以降は着実に上昇している。米労働統計局のデータによると、23年1月の同業界の求人件数はコロナ前を15%上回った。