パウエルFRB議長Photo:China News Service/gettyimages

 ジェローム・パウエル議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)は、近年で最も難しい政策判断を迫られていた。高官らが0.25ポイントの利上げで意見が一致したのは、先月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での正式決定の2日前だった。

 これはFRB時間では期限ぎりぎりの決定だ。FOMCは通常、事前に詳細まで決まっていることが多く、手に汗握るような展開はほぼない。重要決定は会合当日の2日間ではなく、会合前の1週間に下される。FRB指導部は発信するメッセージをきめ細かく微調整できるよう、できる限りサプライズを回避する傾向がある。

 だが、3月21~22日の会合は従来とは正反対だった。その2週間前に発生した銀行危機を巡る不安が渦巻いていたためだ。