ナビゲーションアプリ「Waze(ウェイズ)」の元最高経営責任者(CEO)ノーム・バーディン氏が、大企業での労働とスタートアップ企業の経営は根本的に違うと理解したのは、同社をグーグルに売却してすぐのことだった。「買収後の数週間に企業官僚主義に直面し始め、困惑した」とバーディン氏は話す。「意思決定のたびに複数の承認や会議が必要になるなど、企業にとって当たり前に思えることが、スタートアップの環境では全く相いれない。そこでは素早く決定し、間違っていたら、すぐに修正する」バーディン氏はグーグルで7年働き、2021年に退社した(その後、ツイッターのニュースアプリ版とも言うべき「Post.news」を立ち上げた)。同氏がその過程で学んだことは、ビジネスの研究者が発見したことと一致する。大企業はどのような会社であっても、社員が大胆さよりも慎重さを心がけたり、シンプルな解決策よりも過度に複雑な解決策を追求したり、顧客に尽くすことよりも昇進を優先したりする動機を与える傾向がある。