米経済はもはや「優等生」ではなくなりつつあるようだ。これはドルにとって逆風となる。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は昨年9月につけた高値から約8.6%値下がりしており、今年は2018年以来、最悪のスタートとなった。投資家の間では、ドルの先安観が強い。背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)が1980年以来となる急ピッチで進めてきた利上げの停止が近いとの思惑がある。また銀行システム不安や米国のデフォルト(債務不履行)懸念に加え、多くのエコノミストも指摘する米経済のリセッション(景気後退)リスクも、ドルの重しとなっている。昨年はFRBの利上げが追い風となり、ドルはユーロや円などの主要通貨に対して数十年ぶりの高値に上昇。だが、昨秋から下落に転じた。年明けにはインフレが想定以上に根強いことが明らかになったことで下げ渋ったが、ここ2カ月は再び値下がり基調をたどっている。