米経済は今のところ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを停止すべきとの強いシグナルは発していない。しかし、3日の利上げで当面は、打ち止めとなりそうだ。FRBは3日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、5~5.25%とすることを決めた。これは世界的な金融危機を間近に控えた2007年夏以来の高水準だ。FRBは1980年代初頭以来となる利上げのペースと幅で、1年余り前のゼロ近辺から一気に引き上げた。一方、FRBは今回の会合で、実質的に利上げ停止ボタンを押した。0.25ポイントの利上げを決定しつつも、次回6月の会合で金利を据え置く可能性を強くにおわせた。具体的には、前回の政策声明にあった「幾分のさらなる政策引き締めが適切になるであろうと想定している」との文言を削除した。代わって今後は追加利上げの是非を判断する上で、さまざまな要因を考慮するとの一文が加わった。このように表現が弱められたことは、1日未明に決着を見た地銀ファースト・リパブリック銀行の救済劇や今週に入っての地銀株のさらなる急落といった銀行システムにおける緊張再燃によって、米経済をリセッション(景気後退)に陥れかねないほど、融資が細るリスクが高まっている現状の裏返しでもある。
FRBよ、利上げは待てる
5月で利上げは当面打ち止めも 銀行不安と債務上限問題で
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