「飛び込み」「物売り」「足で稼ぐ」「ノルマ」「テレアポ」といった言葉を連想する「営業」。あらゆる職種の中でも人気が低く、労働生産性が低い営業は大きく変わろうとしている。『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』では、7つの新しい営業メソッドを駆使して、古い営業スタイルを大きく変える「NEW SALES」について、具体例を交えて解説している。最先端のテクノロジー企業が「できる営業」に多額の報酬を払い、企業の成長エンジンに「営業」を据えて躍進するようになった現代に必須の一冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、「NEW SALES」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)
営業は稼げる仕事
「営業」といえば、売上高が成績の指標であり、数多く訪問してガンガン稼ぐというイメージがある。
売上目標を達成したらボーナスが出て、腕に自信があれば完全歩合給で売上に対して高いパーセントの報酬を受け取るのが「優れた営業パーソン」と言われてきた。
「営業は稼げる仕事」であるということで、金銭的インセンティブを求めて営業の世界で活躍している者も多い。
稼ぐよりも大切なこと
ところが、最近は報酬を目的として営業するやり方が通用しなくなってきているという。
では、何のために営業をするようになってきたのか。
これまでの高い報酬を提供するマネジメントをしてきた営業チームは、これからどうやって営業担当者を束ねていけば良いのだろう。
その答えは「やりがい」である。
報酬よりも「やりがい」
日本が高度成長期で社会全体が右肩上がりだった1980年代までは、高収入こそ正義であり、出世して偉くなることが立派とされていた。
しかし、現代では日本の経済は停滞し、人々はがんばっても報われず収入を上げても出世しても満たされないことに気づいた。
それに対して「やりがい」や「自己成長」を求めるようになってきたのである。
営業についても、優秀な人材も高い報酬だけでは集まらなくなってきているという。
どんなキャリアを築けるのか、社会や顧客にどう役に立てるかといったことを重視するようになってきた。
自分が成長することや、社会や周りの人たちへ仕事を通して貢献できていることが実感できる仕事が求められるようになってきたのである。
営業目標に「意義」を入れる
『NEW SALES』の著者である麻野耕司氏は「意義営業」を提唱している。
これまでは営業で成果を出すためには、売上目標を立てたり、アポイント件数のノルマを決めて達成したりすることが多かった。
ところが、目標を達成することで何を実現するのかという「意義」については語られることはほとんどなかった。
これからの営業チームは、「意義」を明確に言葉にして共有することが重要になる。
「自社商品を社会にこう役立っています」
「このサービスを世の中に広めることで豊かな暮らしを多くの人に提供する」
「営業パーソンとしてよりスキルを高められる」
このように、「なぜノルマをこなして売上目標を達成しなければならないのか」という問いの先にある「意義」が、これからの営業では目標になる。
「仕事の成果」のその先を見ることがモチベーションになる
営業における「意義」の重要性について、本書では有名な寓話を紹介している。
1人目のレンガ職人「私の仕事は、レンガを積むことです」
2人目のレンガ職人「私の仕事は、教会を造ることです」
3人目のレンガ職人「私の仕事は、日曜日にみんなが集まって幸せになれる場所をつくることです」
どのレンガ職人が最もモチベーション高く働くことができるでしょうか。(P.182)
3人目のレンガ職人は、レンガを積み上げて教会を造る先にある「意義」のために仕事をしていることになる。
これからの営業活動について、目に見える先の「意義」を目標にすることで、モチベーションが高まって、やりがいを持って働けるようになるだろう。