想像してみよう。リセッション(景気後退)なんてないと。やってみれば簡単なことだ。だが、この先の無風の株式市場を想像することは、はるかに難しい。米経済がこれからしばらく後退期に入るとの懸念が広がっているが、注目すべきは、それはまだ起きていない、ということだ。経済は引き続き成長し、労働市場も堅調で、テック大手の苦境や米地銀(シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行、ファースト・リパブリック銀行)の破綻も、少なくとも今のところはこの流れを変えていない。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切った3日、ジェローム・パウエル議長は会合後の会見で「リセッションが起きる可能性よりリセッションが回避される可能性の方が高いと考えている」と述べた。