スペースシャトルの最終ミッションが行われて間もない2012年、イーロン・マスクという名の風変わりな起業家がCBSの番組「60ミニッツ」に出演し、宇宙探査が必要だと主張した。米国はまだ大規模なリセッション(景気後退)から回復する途上にあった。数カ月前には、「ウォール街を占拠せよ」を合い言葉にした抗議運動が広がっていた。米政府は、民主化要求運動「アラブの春」、シリアでの戦争、そして北朝鮮の新しい最高指導者に焦点を合わせていた。宇宙に回帰するというのはとっぴな考えで、恐らく無駄遣いとさえ思われた。宇宙飛行士のジーン・サーナン氏とニール・アームストロング氏は、民間部門の取り組みに懐疑的だった。しかしマスク氏は、自身が設立したスタートアップ企業によって米国民が再び宇宙について心躍らせることを願っていると話した。同氏は、数基のロケットを打ち上げたスペースXについて、「われわれは、小さくてまとまりを欠く企業(scrappy little company)だ。しかし、そんな小さい会社が勝つことが時々ある」と話した。
【寄稿】ベンチャーキャピタル、米国に投資を
米政府と民間の協力、可能だと示したマスク氏のスペースX
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