中国の経済回復でひともうけのチャンスをうかがっていた投資家が、パリやラスベガスなどに関心を移している。中国と米国の地政学的緊張が高まる中、中国企業への投資を敬遠する一部の運用担当者は欧米や日本の株式への配分を増やしている。中国経済は1-3月期に前年同期比4.5%拡大した。昨年末に厳格なゼロコロナ政策が撤廃され、個人消費が回復したことが背景にある。その後も勢いは続き、労働節の祝日には国内の観光地がにぎわいを見せ、旅行者は食事や買い物を楽しんだ。中国の活動再開が追い風となった欧州の高級品セクターの株価は今年に入って急騰し、中国の消費関連株や主要指数を大きくアウトパフォームしている。2月に米当局が中国の偵察気球とみられる物体を撃墜したと発表すると、この傾向は一段と顕著になった。国有企業を除くと、大半の中国株は2月以降、年初からの上昇分をほぼ失った。一方、中国事業が大きな比重を占める外国企業の株価は上昇基調が続いている。