78年ほど前、広島市内の橋の近くを岸田英治という4歳の男児が母親と一緒に歩いていた。ジョー・バイデン米大統領ら世界の首脳が今週集う会場からそう遠くないところだ。その日、米軍機B29「エノラ・ゲイ」から投下された原爆が親子の頭上で爆発した。1マイル(約1.6キロ)も離れていなかった。  同じく広島にいた少年の叔母は、程なくして発見したおいの姿をこう振り返っている。「彼の小さな体は、何者か判別もできない溶けた肉の塊に変わってしまいました。