世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。
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愛媛の寿司の注目度が右肩上がり
前々回から、少し趣向を変えて、文章を介して「ガストロノミーツーリズム」を体験していただこうと思います。行先は瀬戸内海で、期間は4日間。運転免許がない方や、お酒を飲みたい方でも楽しめるように、移動手段は公共交通機関だけです。
前回は3日目の旅程を紹介しました。今回は4日目の旅程です。
4日目の目的も、美味しい寿司を食べることです。松山市の「くるますし」もしくは「鮨いの」へ向かいましょう。
実は今、愛媛の寿司の注目度が右肩上がりに上昇しています。その理由は、愛媛の寿司屋を中心とした職人さんたちが、食材研究会を結成し、切磋琢磨しているからです。営業後や休みの日に集まって、「ああでもない、こうでもない」と、生産者も交えて知恵を出し合っているのです。それにより、サンセバスチャンのように地域全体の食のレベルが上がっています。
寿司業界では有名な鮨ブログ「すしログ」の大谷悠也さんも「今、一番注目しているエリアのひとつは愛媛だ」と言っているほどです。
余裕がある方へ向けたオプションプラン
さて、これにて「アートと美食に酔いしれる 瀬戸内海美食海道」はおしまいとなりますが、もし時間がある方は、広島まで足を伸ばすのもよいでしょう。
私のおすすめは廿日市(はつかいち)市のフランス料理「AKAI」。
フレンチではあるものの、食材の持っている味わいを重視し、出てくるものは和食のようなものばかりなのが、とてもユニーク。春にいただいたのは、「牡蠣のジュレがけ」でした。(一般的に牡蠣は冬のものだと思われていますが、シェフに言わせると、卵を産卵する手前、栄養をたくわえる4月~5月が一番美味しいそうです)。
ジュレがけはいかにもフレンチですが、食べてみると土佐酢のジュレなのです。だから「日本料理ですね」と伝えたら、「日本料理とかフランス料理とか関係なく、自分は日本人として、今の広島にある食材を一番美味しく食べてもらうためにはどうすればいいかということを考えて作っています」という言葉が返ってきました。そういう考えのシェフですから、水も広島の山奥へ行って汲んできているそう。けれども面白いのは、徹底的な地産地消にこだわっているわけではないところです。地産地消の欠点は、本当はもっといいものが他にあっても、制限されてしまうところにあります。だから彼は、地産地消にこだわっていないのですが、結果的には、80%が地産地消になっているそうです。
同じ市内にはベトナム料理とナチュラルワインの店「CHILAN(チラン)」もあります。
あちこち移動するのが大変だという方は、「ガンツウ」で瀬戸内海を優雅に回るのもおすすめです。
ガンツウは宿泊型の豪華客船で、一般的なクルーズ船とは異なり、静かに瀬戸内海の景色や文化を味わえるのが魅力です。船上ではミシュラン級の料理を堪能できますが、価格は3日間で60万~110万円程度が基本のプランになっているのでご注意を。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。






